No | タイトル・メッセージ | 講師 |
第1回 2月14日(木) |
『民話の世界で遊ぶーこの世と異界を繋ぐ昔むかしの物語』
講師コメント: 民話は、かつては口承で伝えられたものですが、現在はお年寄りから昔話を聞く機会もなくなり、それを聞き取り書き起こした本に残されるのみとなりました。神話や伝承、怪談、妖怪譚も、大きく捉えると民話のバリエーションに含まれるものもあり、お話は多様な世界をもっています。その物語は、竜宮や鼠浄土など、この世を超えた世界も含まれ、人の心に深い階層があることを感じさせます。神話や民話は、「物語」のはじまりのようなもので、様々な創作の原点にもなっています。わたしも民話の類が面白く、好きで読んでいるうちに創作をしていた、という経緯があります。今回は、そんな作家のスタンスから、心に残る様々な民話を取り上げ、お話したいと思います。民話の世界を味わって楽しんでいただけたらと願っています。
☆民話の挿絵をいくつか描き下ろす予定です。
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なかひらまい (作家・イラストレーター) |
第2回 3月14日 (木) |
「文化映像とは何か」 ~映像世界における現実と幻想の狭間で~ ■ 講師メッセージ 私達の心の無意識層には、古代や民族特有の記憶が必ず刻まれていると思う。現実の社会や生きる空間における因果関係では物事を解明や解決出来ない場合が多いが、それはこの世が見えるものと見えないものが共存する世界だからではないか。そこをどのように映像表現するのかについて探っていきたい。 「文化映像」とは、映像の力を通じて「生きる」ためのエネルギーや思想のあり方を表すための学問ともいえる。同時に音楽の力も深く関係する。人々の重要な経験や文化意識の一つ一つを映像空間の中に組み入れることができれば、活発な精神状態がそこから立ち現れ保たれることになるのではないかと思う。映像や音楽はそれぞれ表現手段の一つでありながら、最終的に心と魂に染み付くものが表現の真髄に到達するのである。
今回は、映像の存在意味をいくつかの重要な視点から探求する。
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金 大偉 (音楽家・映画監督・空間演出家) |
第3回 4月18日(木) |
「インド思想の展開 ~ヴェーダーンタから密教へ~」
4 月の講師は昨年 10 月に引き続き、大本山室生寺の要職にありユンク゛にも詳しい仏教思 想研究者の網代裕康氏て゛す。前回は「津田仏教学入門」て゛したか゛、今回はこれを受けての 本論て゛す。網代先生にはこれまて゛「フ゛ッタ゛の根本体験とユンク゛の個性化」「イント゛哲学とユ ンク゛」「密教における行の実践」なと゛7回講演をして頂いております。
■ 講師メッセーシ゛ 紀元前十二世紀頃の古代イント゛て゛成立した『リク゛・ウ゛ェータ゛ 智 の詩(リチ)』に登場するフ゜ルシャ(原人:神人同型的巨人て゛あり、同時に人を意味する)の観念は、属性はそのままに、『ウ゛ェータ゛ーンタ(「 智 の極致」の意)』と呼ふ゛ところの、ウ゛ェータ゛聖典の終結部、即ち『ウハ゜ニシャット゛(思考内容を表す簡潔な定句)』のフ゛ラフマン(梵:世界の汎神論的 実在性の原理て゛あり、最高神)へと継承される。更に大乗仏教の『華厳経』及ひ゛密教の『大 日経』『金剛頂経』の法身ウ゛ァイローチャナ(大日)へと受継か゛れ、密教思想史におけるタ ントラ仏教の頂点に位置する『ヘーウ゛ァシ゛ュラ・タントラ』に至って、ヘールカ神たるヒ゜ トリ(父:ヒ゜ターテー汝の父)へと変貌を遂け゛るのて゛ある。今回は、これらを統一する津 田眞一氏の独創的術語て゛ある<開放系の神>についてこ゛紹介したいと思います。
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網代裕康 (真言宗室生寺派蓮華寺住職 大本山室生寺責任役員・教務執事 )
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第4回 5月16日 (木) |
「フィンランドカフェ」 5月ユングサロンは当会と親交ある尾崎真奈美先生が主宰する日フィ文化交流グル-プ「フィンランドカフェ」との共催講座です。この度前年に引き続きフィンランドが今年の国連調査で世界幸福度ランキング1位と評価されました。その要因は手厚い社会福祉と教育の質の高さとのことです。本講座は正にその分野で専門の研究者として現在活躍されている尾崎真奈美、徳丸宣穂両先生にお話を伺う絶好の機会になりました。
■講師メッセージ: フィンランドの静かなる幸福がどこから来るのか。最新の参与観察を踏まえて、心理学と経済学の観点から読み解きます。 人々の厚生(welfare),および善き生(wellbeing)を保証する先進的な仕組みが北欧の福祉国家ですが,その仕組みを将来に向けて刷新することも模索されています.日本でも有名になったベーシックインカム社会実験はその好例です.この事例を入り口にして人々の厚生・善き生を支える社会経済的基盤について考えます.
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尾崎真奈美 (大学教授<心理学、芸術教育> 徳丸宣穂(大学教授<経済額、都市工学>) |
第5回 6月20日 (木) |
「宗教体験の諸相とユング心理学」~西と東の神秘家たち~
■講師メッセージ: (岩田)ユングと活動を共にしたルドルフ・オットー(1869~1937年)は神学・比較宗教学の世界的な権威であり、またエラノス会議の提案者でもある。 今回はオットーの神秘主義研究をもとに、ドイツ神学者「マイスター・エックハルト(1250~1327年)」とインド神学者「シャンカラ・アーチャリア(800年頃)」の神秘体験を比較し、神秘体験における同一性と多様性について考察したい。 (大橋)今回のユングサロンは15年前に開講したサロン/セミナーの丁度150回目に当たります。そして令和時代を迎えた講座後半では、日本の伝統・文化、日本人の宗教観等をユング的視点で今一度振り返ってみたいと思います。
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岩田明子 (カウンセラー・ドイツ語翻訳家) 大橋幹夫 (当会会長) |
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氏名 | プロフィール |
なかひらまい |
画家・作家・ユング心理学研究会理事・多摩美術家協会会員 1970年3月9日生まれ。セツ・モードセミナー卒業後、雑誌を中心にイラストレーターとして活躍。2005年12月『スプーと死者の森のおばあちゃんスプーの日記〜』で作家デビュー。2010年12月古代史ドキュメンタリー『名草戸畔(なぐさとべ)古代紀国の女王伝説』を発表。2013年に増補改訂版をリリース。2013年11月、毎日新聞(大阪版)にて童話『貝がらの森』を連載。2017年より多摩美術家協会会員。絵画制作でも活動中。創作・ルポルタージュ・イラストレーションを通して日夜、独自の視点でモノノケの世界の本質を探求している。
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金 大偉 |
(音楽家・映画監督・空間演出家) 中国遼寧省生まれ。父は満洲族の中国人、母は日本人。来日後、独自の技法と多彩なイマジネーションによって音楽、映像、美術などの世界を統合的に表現。様々な要素を融合した斬新な作品を創出している。 音楽CD『新・中国紀行』('00)、『 龍・DRAGON 』('00)。また中国の納西族をテーマにした『TOMPA東巴』('03〜'07)シリーズ3枚を発売。東日本大震災への祈りの組曲『念祷 nentou』('11)、『冨士祝祭〜冨士山組曲〜』('14)、『鎮魂組曲2 東アジア』('17)、最新作は『マンチュリア サマン』('18)など多数リリース。 映画監督作品は、『海霊の宮』('06)『水郷紹興』('10)『花の億土へ』('13)『ロスト・マンチュリア・サマン』('16)など多数。
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網代 裕康 |
真言宗室生寺派蓮華寺住職 大本山室生寺責任役員・教務執事 大正大学大学院修士課程修了(仏教学専攻)。東方学院にて津田眞一博士(国際仏教学大学 院大学名誉教授)に師事(1988~2008)。日本印度学仏教学会・仏教文化学会・東方研究会・ 仏教思想学会・豊山教学振興会に所属。 講演や執筆て゛も活躍、最新の寄稿は月刊『大法輪』 2019 年 3 月号特集記事「阿弥陀如来と薬師如来早わかりカ゛イト゛」薬師如来とは?
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尾崎 真奈美
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東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学、京都大学 大学院人間環境学研究科博士課程、ペンシルバニア大学医学部精神神経科ポスドク研究員、サーチ研究所スピリチュアリティ研究部門(ミネアポリス)客員研究員、アアルト大学スクールオブサイエンス(フィンランド)客員教授、などを経て現在、相模女子大学人間社会学部人間心理学科教授。
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徳丸 宣穂 |
京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。 フィンランド国立労働衛生研究所客員研究員、一橋大学経済研究所客員准教授、 アールト大学スクール・オブ・ビジネス客員研究員などを経て現在、名古屋工業
大学大学院社会工学専攻教授。https://www.tokumarunorio.info
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岩田 明子 |
(心理セラピスト・ドイツ語翻訳家)立教大学大学院文学研究科博士課程(組織神学)を経て、ハイデルベルク大学神学部博士課程において比較宗教学・心理生理学的な視点から「祈りと治癒の関係」について研究を行う。その後ドイツにおいて精神神経免疫学に基づく心理セラピスト、自律訓練法トレーナー、自然療法の資格を取得。現在、都内の耳鼻咽喉科において心理セラピスト、自律訓練法トレーナー、独自に開発した「ゆるぽか内観法」の指導者として臨床現場に携わっている。
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大橋 幹夫 |
東京出身。東京大学法学部卒。海運、石油開発企業、石油精製会社(役員)、石油関連会社(CEO)、経済同友会会員。その後大正大学/東方学院において津田真一先生<仏教思想・密教学>および横山絃一先生<唯識学>、日本ユング研究会では林道義先生<ユング心理学>に師事。児玉教育研究所<臨床心理>(理事長)を経て2004年ユング心理学研究会(会長)設立・セミナー開講現在に至る。
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