■概要:
スタディ参加者から出ていた二つの要望、「ユングを読む上で参照できるような用語集があれば便利だが、そうしたものが書籍にもWeb 上にもない」、「これまでのスタディの内容の復習ができるといい」を受けて、参加者とともに簡易なユング心理学用語集を自前で作っていく企画を全2回で行いました。ユングの用語を一つ一つ検討することで、自然とユング心理学の内容の再確認も兼ねた作業になりました。
第1回 7月4日(木)
まずは、用語集に取り上げる候補となる用語を選び出すために、いくつかの既存の用語集を取り上げて検討しました。
最初に、ユングの著作『タイプ論』(1921)における第11章「定義」を取り上げました。これはユング自身が、自分の使っている用語の意味を定義し説明している章で、用語集としても充分活用できます。ただ、説明がたいへん長い項目もあって簡易な用語集とは言えない面があります。また、ユングの著作全体の中ではわりと早い時期の著作であるため、ユングの後期の業績に関わる内容については触れられていません。
次に、ネット上で一般公開されている英文のユング心理学用語集である、Daryl Sharp「Jung Lexicon : A Primer of Terms & Concepts」を、一部試訳して取り上げました。全般的で利用しやすい用語集ですが、ユングのテキストを読む上で説明の過不足があるような印象も感じられたところです。併せて、邦訳のあるサミュエルズ他『ユング心理学辞』(創元社)も参照しました。
これらに加え、かつて当研究会が開催した『自我と無意識』読書会企画において、資料として作成していた「ユング心理学『心』に関する用語集」も再度取り上げました。これは心の様々な概念を指す基本的な用語を集めたものですが、必ずしもユング心理学全体に関わる用語集にはなっていません。
これら様々な用語集を通して、今回取り上げる用語について大まかなにピックアップする作業を行いました。
第2回 8月1日(木)
前回ピックアップした用語に簡易な説明をつけた資料をもとに、各用語の説明内容を検討していきました。これによって会による基本用語集は、ひと通り完成することとなりました。
この基本用語集は、会の参加者が簡易に参照できるよう、会のHPの以下のところにて公開しています。
https://jung2012.jimdofree.com/資料集/ユング心理学基本用語集/
【開催時の通知文】
◆【夏期特別企画】
タイトル「ユング用語集を作る」7月、8月
■日程:
第1回 7月4日(木)19:00 〜 21:00 (開場18:45)
第2回 8月1日(木)19:00 〜 21:00 (開場18:45)
■概要:
ユング『空飛ぶ円盤』スタディ最終回の6 月6 日では、特別編として「三島由紀夫『美
しい星』を読む」を行いました。
作家・三島由紀夫は、晩年ユングに関心を持つ一方で、UFO にも強い関心を持ち、ユング『空飛ぶ円盤』出版から四年後の1962 年に、自身が宇宙人であったことに目覚めた一家を描いた小説『美しい星』を上梓します。この作品には、様々な点でユングと共通するような現代についての問題意識が強く現れています。
この作品においての宇宙人への目覚めとその後の苦難は、宗教者における回心と受難の過程と同型のものであって、まさにユングの言う「自己の現れ」に関わる個性化過程を描いたものとして読み解くことができます。この小説内では、人間の絶望の果てに、「神 / 自己」としての円盤が現前します。しかしそうした救済のあり方を現実の中で信じることができず、最後に死による直接体験を求めたことが、三島の自決という行為に関連しているのではないか。これらユング心理学的視点からの仮説などについて意見の交換がなされました。
次回のユングスタディでは、7 月、および8 月の全2 回において、簡易なユング心理学用語集を自前で作っていく企画を行いたいと思います。
「ユングを読む上で参照できるような用語集があれば便利だが、そうしたものが書籍にもWeb 上にもない」、「これまでのスタディの内容の復習ができるといい」というスタディ参加者からの二つの声を受けて、この両者を同時に行うような企画となります。
まずは用語集に取り上げる候補となる用語をピックアップし、それぞれについての説明文の内容を素案を元に皆で検討をしていきます。その過程で、自然とユング心理学の考え方を復習することになるかと思います。完成した用語集は、会のHP にて公開する予定です。
進行役:白田信重、山口正男、岩田明子(ユング心理学研究会)
■ 会費:1,500 円(会場費1,000 円、資料代500 円)
■ 主催:ユング心理学研究会 http://jung2012.jimdo.com/
■ 問い合わせ:研究会事務局 [email protected]
※ 資料準備の都合等から、事前の参加申し込みが必要です。
※ セミナー時に撮影した写真を当研究会のホームページやFacebook 等のソーシャル
メディアに公開する場合があります。あらかじめご了承ください。