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2017年(後期)テーマ 『日本(人)のこころの原風景』


 

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第1回

7月20日

(木)

「水木しげる作品と音のある原風景」

 『ゲゲゲの鬼太郎』の原作者として、また妖怪研究家としてもあまりにも有名な水木しげる(1922-2015)。その作品の背景にある原体験としては、幼少期から少年期までに過ごした鳥取県・境港や、南方のラバウルでの戦場でのそれがベースになっているといわれています。

 たしかに水木作品に触れると、そこかしこに見られるのは、素朴に生きる人々や、妖怪たちとの遭遇です。けれども、さらに一歩踏み込んでみると、そこからは独特な「音」が響いてきます。水木自身、最晩年には「音のしない妖怪画はだめだ」と明言していたほどでした。

 では、水木作品から響いてくる「音」とはどのようなものなのでしょうか。そしてそれは、彼の膨大な作品群に描かれた緻密な風景とどう関わるのでしょうか。日本(人)のこころの原風景を訪ねる旅の始まりに、妖怪や精霊の世界に、そっと耳をそばだててみましょう。

 

甲田 烈

第2回

9月28日

(木)

 「現代人の死生学とは?」 

  悲嘆学から不思議な巡り合わせで学ぶこととなった近代現代の死生学における歴史的流れを皆さまにご紹介しながら、現代に生きる私たち各々の死生観に改めて光を当てていく機会となっていただければ幸いです。

 死は誰にでも訪れるのですが現代は死そのものが日常から見えにくくされています。近代以降、フロイトの「喪の仕事」という言葉から死に対する人間の営みが研究され始めたといわれています。弔いの儀式、シシリー・ソンダースやキューブラ・ロスらによるホスピス運動、死別の社会学、弔い論、生命倫理、そして日本では311以降注目される臨床宗教師及び臨床スピリチュアルケア師の今など時間の許す限りご紹介させていただきます。

 私の研究テーマにも少し触れつつ、後半は、葬儀やお墓に対する日本人の考え方の変移に日々直に触れている白田信重氏(ユング心理学研究会、白田石材店代表取締役社長)との対談をまじえながら、現代人の死生観の現状と変化、最近の死生学への関心の高まりなどについてご紹介していきます。

 

所 れい

第3回

10月19日

(木)

「室生寺草創の怪~日本古代史の皇位継承と呪詛」

  室生寺(奈良県宇陀市)は、空海が中国で師・恵果(けいか)から密教を受法した際に授かった秘宝・摩尼宝珠を擁する真言宗の寺院です。平安初期からの堂塔や仏像(いずれも国宝と重文)が千二百年を経た今に受継がれる古刹ですが、寺史には謎も多く、今回はその草創について、少ない文献資料を基に推理し考察して楽しみたいと思います。

 寺伝では、白鳳年間に天武天皇(在位673-686)の御願により役小角(えんのおづぬ)が創建し、平安に至って空海が密教寺院として再興したと伝えています。しかし昭和11年以降、寺史が文献学的に研究され始め、唯一の文献『宀一山(べんいちさん)年分度者奏状』から新たな史実が明らかになりました。それは奈良時代末、皇位継承を巡って呪詛が行われ、謀略に巻込まれて命を落とし怨霊化した皇族の鎮魂を目的に編制された僧たちの功績が創建のきっかけだったのです。

講演後、なかひらまい氏(作家・古代紀国伝承研究)とのインタビュー対談を

予定しています。

 

 網代 裕康

第4回

11月16日

(木)

「茶道と日本文化の侘びの美学」~そのリベラルアーツ・フィロソフィーとしての系譜を巡って

 「アートとしての茶道」ということが、当研究所の標語であり、一般的な茶道教室との立場の違いです。本来の茶道はナチュラルで、セラピューティックなアートとして、捉えられるものであるということです。――このアートとしての侘び茶道の系譜は、例えば、最近の映画の「利休にたずねよ」や岡倉天心の『茶の本』などにも、随所に垣間見られる問題意識であるといえるでしょう、

 しかし、芸術とはいっても、茶道には絵画や彫刻のようなジャンルの如くに、目立った作品制作の場面は見当たりません。むしろそのことが、アートとは何か?美とは何なのかという哲学的テーマや、或いは、侘びという名の野生の美学が導く芸術的教育論の領域に我々の心を誘ってくれるのです。すなわち、それは伝統的な我国の文化史の底流に流れるタオ=道としての芸術論であり、また、LIFE IS ARTというリベラルアーツのコアな問題関心への入り口ともなるのです。

 セミナー後半では、フィンランド留学から一時帰国中の尾崎真奈美さん(相模女子大学人間心理学科教授)に、当茶室における御稽古体験談や、最近のサバティカルにおける北欧茶会の模様などについても語っていただく予定です。なお、時間が許せばマルセル・デュシャン以来の、「芸術とは何か」ということ自体をテーマとしたコンセプチュアル・アートの一例として、数式で書かれた私の作品「美の方程式」も例示できたらと考えています。

 

黒川 五郎

第5回

12月14日

(木)

 「常世の音と光」〜映画制作から見る石牟礼道子の世界観〜

 作家、詩人である石牟礼道子の世界を映画制作に通して、一連の大切な問題提起をなしえると思います。その文学世界の広がりや歴史性、美学性、宗教性、そして「文明の毒」としての公害問題及び社会性について、深く掘り下げることが可能であると思います。その永久に循環する魂や精神の世界、また神域、鎮魂の世界の深層から繋がる日本人の文化における原郷の視点について考察したいと思います。これは石牟礼世界より21世紀へのメッセージであり、啓示であり、現代における新たな知恵の提示でもあります。この世界を音楽と映像に置き換えることによって、表現世界につながる見えないキーラインが見えます。さらに昇華の次元へ目指すために幾つかの方向性を提示したいと思います。リアリズムも幻想も同じように、「あの世」と「この世」の時空、過去・現在・未来の時空、さらに「光」が循環する姿。そこに夢と希望が秘められていると考えられます。  金大偉

 

金 大偉

講師

氏名 プロフィール

甲田 烈

 EMS公認講師・東洋大学井上円了研究センター客員研究員。

 哲学者・妖怪研究家。東洋大学文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。

専攻は仏教学。相模女子大非常勤講師を経て、2016年よりEMS(エッセンシャル・マネジメントスクール)公認講師。

 フィールドは幅広く、妖怪学からスピリチュアリティの心理学、近年ではメタ理論研究など。近著に『水木しげると妖怪の哲学』がある。

 

所 れい

上智大学文学部哲学科卒。認定芸術療法士、感性教育家。

2000年よりRHIヒーリングハープセンター代表。

病床演奏師ヒーリングハープ?プラクティショナー養成講座主宰。

ハープアルケミー?芸術療法、NLPエリクソン催眠療法、

力動的心理療法、コーチング、ワークショップ、講演など行う。

ヒーリングハープCDシリーズ、CDブック著。

現在、上智大学大学院実践宗教学研究科死生学専攻第1期生修士課程在籍中。

 

網代裕康

 真言宗室生寺派蓮華寺(東京都杉並区)住職(権大僧正)。室生寺責任役員・教務執事。大正大学大学院修士課程修了(1982)仏教学専攻。東方学院(故・中村元 東大名誉教授設立)にて津田眞一 元・国際仏教学大学院大学教授に師事(1988-2008)。 【加入学会】日本印度学仏教学会、仏教文化学会、仏教思想学会、東方研究会、豊山教学振興会。【最近の講演会及び執筆】「水」への祈り『密教の宝を護る龍王』:奈良学文化講座(JR東海主催 読売ホール2017/1/20)月刊『大法輪』2017,11月号(特集記事「諸仏の種字・真言①如来)

 

黒川五郎

  略歴:哲学者、茶道家。慶応大学文学部卒業後、教職の傍ら人間形成の芸術論(WINGED CROSSING)を着想。教育哲学会での研究発表が好評を博し、青山学院大学講師等を兼任。

 現在、茶道をポスト・モダンのアートとして展開する、ティー・セラピー・スタジオ芸術教育学研究所所長。裏千家茶名:宗五。著書・論文:『新しい茶道のすすめ』(現代書林)、『ティー・セラピーへの招待』(川島書店)他。

HP : http://tea-therapy.com

 

金 大偉

Kin Taii

  音楽家、映画監督、空間演出家

 中国生まれ。父は満洲族の中国人、母は日本人。来日後、独自の技法と多彩なイマジネーションによって音楽、映像、美術などの世界を統合的に表現。様々な要素を融合した斬新な作品を創出している。音楽CD『新・中国紀行』('00)、 2006年に「道 tao」シリーズ3枚を発表。また中国の納西族をテーマにした『 東巴TOMPA.』('07)シリーズ3枚を発売。東日本大震災への祈りの組曲『念祷 nentou』('11)、『冨士祝祭〜冨士山組曲〜』('14)『変形記』('15)は中国にて発売。「鎮魂組曲」('16)「鎮魂組曲2・東アジア」('17)など多数リリース。映画監督作品は、『海霊の宮』('06)『水郷紹興』('10)『花の億土へ』('13)『ロスト・マンチュリア・サマン』('16)など多数。

 

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