2020年度通期テ-マ「ものからの見られ方」

日程および会場は都合により変更になることもありますので、ご参加の際は当HPをご確認ください。

 今年度サロンの通期テーマは、2019年後期のテーマ「ものの見方」へのリプライとなる「ものからの見られ方」です。

 

 私たちは通常、自分が主体であり、客体であるものを様々な捉え方で見ていると考えがちです。しかし私たちは、別の主体側から見れば一つの客体であるし、客体と思われていたものが実は私たちにとっての主体であったりすることもあります。実際のところ、主体も客体も、様々なモノが関係している網目の中ではじめて浮かび上がってくるような存在なのでしょう。

 

 例えば、ニュージーランドのマオリ族の伝統的な信仰では、品物にはハウと呼ばれる精霊が宿っています。誰かが贈り物をすると、その物に宿るハウが受け取った人に対し、他の誰かに贈り物をすよう駆り立てると思われています。我々は自分のことを、自由に経済的行為をする主体だと思っていますが、実は、マルクスの言う物神的なるものに動かされる客体である側面を持っています。 

 

 ユング心理学における個性化過程論も、私たちの自我が主体であるという認識から、実はそれが本来的な心の中心たる「自己」の客体にすぎないのだという、主客逆転の気づきに基づいています。

 

 私たちはいかにしてものから見られ、客体となるのか。こうした視点をもって、様々な事象について考えていきたいと思います。

 

<開催予定>

  定例開催日は原則として、毎月の第3木曜日です。(1、5、8月は休み)

 

 以降、順次開催予定

 

No タイトル・メッセージ 講師

第1回

2月20日(木) 

 「ニンゲン」から見える人間のあり方

〜 『貝がらの森』が織りなす人と世界の存在論 〜

 

『貝がらの森』は、2013年11月に毎日新聞大阪本社版『読んであげて 広げよう おはなしの輪』にて連載された挿絵付きの童話です。このたび、これを加筆修正した単行本が2019年11月に出版されました。女子中学生の「夢」が、小学生の頃に行ったことのある不思議な世界「貝がらの森」での記憶を取り戻し、そこでの体験を友人に語ってゆくというお話です。

 夢は「貝がらの森」に迷い込むことで、キツネの姿に変わってしまいます。夢は、キツネとして生きるあり方を探す旅のなかで、ひとつ目小僧や烏天狗などさまざまな妖怪たちと出会いながら、この不思議な世界に関わっていくことになります。この「貝がらの森」には人間がおらず、夢が人間についての話をしても、それは奇妙な化け物「ニンゲン」の話として受け取られます。

 今期第一回となるユングサロンでは、『貝がらの森』作者のなかひらまい氏と、単行本に解説文を寄せている当研究会会長代行の白田信重氏とのパネルトークを通して、『貝がらの森』に描かれた新たな「ものからの見られ方」について考えていきたいと思います。

 

 主人公である夢は、この不思議な世界の旅を通して、何を得たのでしょうか。私にはそれをうまく言い表す言葉が思いつかないのです。ただ、この物語が終わることで、この現実世界は単なる現実の世界ではなく、不思議な世界と重なり合う世界に変貌しています。「風の魚」は、気づくことさえできれば、この世界にもいるのです。夢は、思い出した記憶とともに、この現実世界の日常を新たに生きていくことになります。それは重苦しかった日々とは、また少し違ったものになることでしょう。(『貝がらの森』白田信重・作品解説より)

 

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なかひら まい

【休止】

第2回

3月19日

(木)

 精神科医が作る心霊コメディ映画

 「ソウル・ミュージック」映画上映会 & 監督トークライブ

 

 2019年、「ソウル・ミュージック」という短編映画を制作しました。とあるミュージシャンが死者の声を聞く装置(=ゴーストボックス)を使い、霊をボーカルに招いて音楽セッションをするというコメディ映画です。この映画では霊とコンタクトするために心霊界隈で実際に使われているという装置を用いており、実験ドキュメンタリー的な側面も持っています。

 私自身はオカルト指向と程遠く、いわゆる霊、おばけの存在は懐疑的ですが、心霊スポットへロケハンに向かう中何とも言えぬ居心地の悪さ、物音、「何かいた?」という錯覚にも似た体験をしました。霊の不在を前提にするのであれば、人間が「霊」と知覚する人間の認知システムについて専門家に話を伺いたい、映画自体にも新たな視点を持ちたい、というスタートから白田信重氏にご相談させていただき、映画にご出演して頂いております。

 ユング心理学研究会にてイベントを行うというのであれば単なる映画上映、監督の解説に留めるのは勿体なく、映画のテーマ、ひいては創作活動すること自体について参加者の方々とも意見の交流をできればと思っています。

 

 副島 正紀

第3回

4月16日(木)

 「映像体験」 暗闇の中で展開する儀式(あるいは魔術)

〜 人の眼(カメラ)を通して見せられる世界(または象徴としてのオブジェ)を心はどう対処しているか 〜

 

 

 

 ヤジマチ サト士

 

第4回

 

(木)

予定

 調整中

調整中

   

調整中

 

 

 


講師

氏名 プロフィール

なかひら まい 

(画家、作家、ユング心理学研究会理事、多摩美術家協会会員)

 

1970年生まれ。セツ・モードセミナー卒業。2005年12月『スプーと死者の森のおばあちゃん』で作家デビュー。この『スプーの日記』シリーズは好評で3巻まで出版される。2010年12月には和歌山県に伝わる古代女王伝承についてのドキュメンタリー『名草戸畔(なぐさとべ)古代紀国の女王伝説』を発表、2018年には同著の増補改訂三版もリリースされ、古代史や伝承の研究者として広く知られる。2018年より多摩美術家協会会員。2019年11月『貝がらの森』を出版。絵画制作、創作・ルポルタージュ・イラストレーションを通して日夜、独自の視点でモノノケの世界の本質を探求している。

HP:http://studiomog.ne.jp/nakahira/

 

白田 信重

(ユング心理学研究会会長代行)

 

早稲田大学商学部卒。浅草の老舗石材店「白田石材店」の四代目・代表取締役社長。ユング心理学研究会会長代行で、ユングの著作を読み進める「ユングスタディ」企画の進行役。

 

副島 正紀

(そえじま・まさき)

(精神科医、映像作家)

 

 精神科医師として臨床に携わる傍ら、学生時代から始めた映像製作を続けている。入江陽、大島輝之、ギリシャラブ、ツチヤニボンドなど、様々なアーティストとのミュージックビデオ制作を経て表現を模索。

 2019年、入江陽主演の長編映画「バンドAと空飛ぶ円盤たち」を自主制作。渋谷UPLINKで上映し、同年に短編映画「ソウル・ミュージック」を制作。MOOSIC LAB2019短編部門にて準グランプリ、男優賞、ミュージシャン賞を受賞。2020年2月には東京での再上映を終え、博多、神戸など全国へ上映が拡大している。

 現在新作映画を準備中であり、2020年秋に完成を予定している。

 

ヤジマチ サト士

 (映像作家、歯科医師、Artist Collective Fuchu理事、国連ウィメン日本協会アドバイザー)